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今から30年前にはじまる物語

 その頃筆者は岡山に住んでいた。
 港湾地区にあった研究所で、主に白血病患者さんの血液から樹立された白血病細胞を使った研究をさせてもらった。
 白血病は「血液の癌」であり、未熟な白血球がクローン性に増殖しているので、逆に言えば均質な細胞を大量に得ることができるのだった。
 そのラボラトリーには、敗戦後間もない時期から合衆国東海岸渡航してその培養樹立に生涯を捧げたドクターの超人的な努力で、世界最大と言ってもよいライブラリーがあった。白血病がほとんど治癒する病気となったのは、ドクターから供与された細胞を用いた研究によるものである。
 培養している細胞の培地を交換して帰宅し、論文を読んだりしているうちに、連日2時3時になって、「謎の円盤UFO」などが再放送されていたテレビから、放送終了時刻となると岡村孝子《夢をあきらめないで》が流れていたものであった。
 そして4月22日に岡村孝子さんが急性白血病との報に接する。
 一日も早い回復をお祈りする。